新型コロナウィルス感染とHLA(ヒト白血球抗原)は関係があるか?

日本における新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の感染者数や死亡者が少ない原因は、
きれい好き、BCG、既に集団免疫がある等といろいろ推測されてきましたが、

日本だけでなく、東南アジアのいくつかの国でも、感染者数や低い死亡率から、
「アジア人にはCovid-19に感染しにくい何らかの遺伝子的要因があるのではないか?」と
言われる様になりました。

特に、SARS感染騒動の時にHLA(ヒト白血球抗原)のタイプにより感染率に差異が認められた事から、
同じタイプのCovid-19にも、HLAが関係するのではないかと脚光を浴びる様になりました。

この因果関係が明らかになると、日本の新型コロナウィルス感染対策は欧米とは違うものになるはずです。
「欧米の実行再生産数」などを参考にした最悪のケースを前提とする必要がなくなるからです。

又、抗体検査の結果だけなく、新型コロナウィルスに感染しにくいHLAを持つ人が多いほど、
再度の感染の流行が起こりにくい事になりますので、その対策も違ってきます。




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日本と欧米での新型コロナウィルスの感染率の違いと推定要因

中国との地理的な近さから、いち早く感染が広まった日本において、
その後、何故、欧米の様な急速な拡大がなかったのかが、大きな疑問となっていますが、
未だに誰も明確な答えを見つけられていません。

正確な感染者の数は各国でも分かっていませんが、
死亡率の差は欧米と日本において2020年4月15日の時点で100倍以上です。

死亡率の低さについて推定される要因は何か?

(1)BCG予防接種要因説

BCGの予防接種を行っている国々と行っていない国々の間には、感染者数において大きな開きがあり、
「BCGと新型コロナ感染との相関関係」は、明らかにあると研究者の間でも言われています。
米ニューヨーク工科大の研究者が3月末に発表した調査結果では、各国の3月21日時点で
BCG予防接種を実施した国としない国では、新型コロナウイルスの感染者数や死者数に差異がある
事が確認されたとしています。

地理的に隣でも100万人あたりの死亡率に開きがある例として、スペインとポルトガル、イランとイラク、
旧東ドイツ地域と西ドイツ地域、等があげられますが、

死亡率の高い国にBCG予防接種を実施していないか、限定期間しか行わなかった国が多い事も
この説の根拠となっています。

全国的予防接種を行った事がないイタリアや米国やベルギー、16年間限定であったスペイン等の
国々での死亡率が高いなどからこの説が注目を浴びました。

しかし、相関関係がある事=因果関係があるとは限りません。WHOは新型コロナに対するBCGの
有効性を認めていません。

これを証明する研究結果は今の所、発表されていませんが、2020年4月にオーストラリアが臨床試験を
開始したので、その結果によって何かがわかるかもしれません。

(2)キレイ好きな生活習慣説

イタリア人が挨拶の際に相手の頬にキスをしたり、ハグや握手を日常的する様に、
欧米人は身体的接触の習慣がある一方で、アジア人(特に日本人は)礼や会釈をする
事は一般的ですが、相手との接触は比較的少ないと言えるでしょう。

又、医療関係者の靴の底にウィルスが多量についている事などから、
土足で家の中に上がる欧米人の方がウィルスに感染し易いのではないかとも言われました。

これらが、関連する事は否定出来ないが、
これだけでは、日本と欧米の感染率の圧倒的な差を説明する事は難しいでしょう。

(3)遺伝的要因説

遺伝的要因を否定する論調の根拠は、「他民族国家米国でのアジア系と他の人種との感染率に
際は無い」というものであるが、米国の医療関連サイトを見ると、人種不明が20%もいる。
この20%がどこに配分されるのかわからない以上、はっきりした事は言えないのである。

スタンフォード大学がサンタクララ(シリコンバレー)で実施した抗体検査の結果を4月21日に発表して
潜在的な感染者数が50-80倍というニュースが話題を呼んだが、その調査ではアジア系が2割程度を占めて、
アジア系も他の人種と変わりなく感染すると思われているが、そもそもシリコンバレーにはアジア系が多いので、
地域におけるエスニシティ―の割合を考慮しないと、人種に基づく感染の度合いは判断出来ない。

そこで、今回出てきたHLAですが、なぜ新型コロナとの関係性が推定されるのでしょうか?




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SARSとHLAの関係性

HLAとは、(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)で
簡単に言えば、白血球のタイプです。

新型コロナウィルスの正式医学名称がSARS-CoV-2という様にコロナウィルスの中では
SARSコロナウイルスとゲノム配列が一番近く、同じ種(の姉妹系統)と見なされています。
※COVID-19はウィルス名でなく、症例名。

このSARSの感染率とHLAに相関関係があったので、新型コロナウィルスとHLAの相関関係が
推察された訳です。

HLAと感染症の関係を考察する

米国の論文から

「HLA-B * 46:01は新型コロナウィルスに対して脆弱であり、
逆に、HLA-B * 15:03は免疫を高めるという結果を示した」
(オレゴン健康科学大学の研究者らのレポート)

出典:ウイルス学ジャーナル(アメリカ微生物学会)
https://jvi.asm.org/content/early/2020/04/16/JVI.00510-20

日本の専門家の見解

2020年3月23日に、新型コロナウイルスと遺伝子と題して下記の見解を述べています。

「ヒトの進化の中でHLAの多様性に影響した感染症が具体的に何であったかはわかりませんが、
新型コロナウイルスのようなウイルス感染症はその候補であると考えられます。
現在は、その拡散をできる限り抑制し、その間に予防薬、治療薬、ワクチンを開発することに
集中すべきですが、可能であれば遺伝子を収集し、ウイルスの遺伝子だけでなく、
新型コロナウイルスに対する感受性や重症化のヒト遺伝子の研究を行うことも重要だと考えます。
この研究は、治療薬開発にも役立つ可能性があります」

出典:日本公益財団法人 痛風・尿酸財団ホームページ
https://www.tufu.or.jp/information/bbs-information/1803.html

この事が将来どう影響するか?

次の冬の再度の流行に対応出来る

米国のCovid-19対応の大統領ご意見番であるCDCのファウチ所長は、
「第二波の流行は必ず来る」と予想していますが、
既に免疫力があれば、今後の再度の流行の心配が緩和されます。

他国との交流が容易になる

これからの世界は、二つのグループに分かれていく傾向になる。
1、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、の様に追跡封じ込めにより感染者を抑制した国。
2、欧州、日本、米国の様に感染者が多数いる事を許容して前に進む国々。

タイプ1の国は、抗体保有者が少ないので同じタイプ1以外の国との交流に問題が出る。

仮にタイプ2の国からの入国を許す場合は、抗体保有証明の提示が必要になるし、
感染リスクを恐れてタイプ2の国に旅行等にいくことが憚られる。
商用などで出かけた場合は、全員帰国時に空港で検査が必要となる。

タイプ1でも2でも、既に感染済で抗体がある人ならば自由に出入り出来る。

つまり、仮に日本人やベトナム人が遺伝的要因(HLA等)で、既に免疫を持つ事が証明されると
新型コロナウィルスに感染した事による抗体がなくとも1と2の垣根を超えて自由に交流できるかもしれない。




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1 個のコメント

  •  私は老人h-ムを経営していますが今回の新型コロナウイルスは、日本人はヒト白血球抗原を持っているから、既に抗体を持っていると東京工業大学の村上先生が述べているそうですが、もし、そうであれば垣根無く自由に行動できると思います。
     現状は、マスコミやメデァはこの事を報道しないので、大衆は混乱してます。ご指導をお願いします。

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